この記事は、今年4月から社会人になるKOKIさんに書いてもらいました。
彼は台湾人の母と日本人の父を持つ日本の大学に通う日本人です。また、家庭内は全て日本語の為、母の故郷である台中に帰省しても中国語は挨拶以外できなかったそうです。
そこで一念発起し大学2年の夏休みに、語学留学をかねて2ヶ月間単身で台湾に滞在。そこから、本格的に中国語の学習を進めて、大学4年の夏休みにこの記事のとおり、再び台湾に留学。
その後は何度も台湾に足を運び、様々な場所を旅し、色々な人と知り合うことが出来たそうです。将来は台湾と日本の懸け橋になるような仕事をしたいと思っているとのこと。
社会人が費用の面で参考にはできませんが、輔仁大学のことや、台湾人の学生の考え方などは非常に参考になります。
1.留学を決めたきっかけ
ボクは母が台湾人なので、何度か台湾には行っていた。でも、台湾の文化・歴史のことはあまり知らなくて、中国語も一部の単語以外、ほとんど話せなかったんです。
そして一度だけ大学2年の夏休みに、費用が安い*ポンフーに留学。この時はマンツーマンレッスンを1日3時間、30日間受けました。そこでは、沢山の人と知り合うことが出来て、中国語の学習というより楽しい思い出づくりといった感じでしょうか。
なので、大学を卒業するまでに台湾文化や中国語をもっと学ぶ為に、もう一度留学したいと思っていた。
①費用の捻出
ただ、留学するにはまとまったお金も必要で、前回のポンフー(親戚の家にお世話になりました)のように費用があまりかからない留学方法を探していました。
・海外学習支援プログラム
そんな時に自分が通っている大学の海外学習支援プログラムで、選抜により授業料が免除されるものを発見。期間は2週間で、中国語の授業が計24時間、台湾の文化・歴史を学ぶ授業が計32時間という自分にピッタリな魅力的なプログラム。
すぐにその大学のプログラムの選抜(面接)を受け、そして見事に授業料免除(85,000円)の留学資格を得ることが出来た。
でも正直、授業料免除になっても、プログラム自体の参加費、往復の航空券、宿泊料や雑費などが別途、約12万円ほどかかるので、さすがに学生の私には負担がデカイ。
・留学チャレンジ型奨学金
ここで、*一定の条件をクリアさえすれば返済しなくてもよいという、大学が提供している留学チャレンジ型奨学金があることを知り早速応募、なんとこちらも運良く、頂く(10万円)ことが出来たんです。
これがタイトルに書いたように、参加費、授業料、旅費も含めて全部で2万円で済んだ理由です。
これで、親にも迷惑をかけずに、自分がバイトしてためた資金だけで留学にいけることになりました。
そしてその留学先が、新北市にある美人が多いとうわさの輔仁大学でした。
*一定の条件とは 中国語検定3級以上保有、大学1年時から中国語の講義を履修など、中国語の学習姿勢です。
2.留学の内容
大学の正式名称は天主教輔仁大學で英語名はFu Jen Catholic Universityです。
カトリック系の難関私立大学で、日本で言うなら上智大学と言ったところでしょうか
公式サイトはコチラhttp://www.fju.edu.tw/
期間は夏休み中の2019年8月5日(月)~8月16日(金)の2週間で、前後1泊づつプラスして計13泊14日間です。
ロケーション
輔仁大学は台北市ではなくとなりの新北市に位置しています。最寄りの駅はMRT新荘線の輔大駅で、目の前に大学がある。
マップhttps://goo.gl/maps/CaquAa1W4NAH6f1bA
①プログラム概要
輔仁大学でのプログラム内容は次のとおり。
初日は中国語レベルテストを受け、キャンパスのツアーを行った。これはほとんど適当な感じで、
近くのドリンクスタンドを紹介されたくらい。
2日目以降は午前が中国語授業、午後は文化研修です。
②中国語授業内容
・レベルテスト
私のクラスは全て、このプログラムに参加した日本人大学生だけで構成されています。
このレベルテストは上級者か初級者に分けるためのクラス分けが目的。
上級者クラス希望者は担当講師との面接を中国語で受け、講師の許可が下りれば上級者クラスへの参加が認められる。ちなみに上級者クラスへは私の中国語検定3級レベルでOK。
クラスの内訳は上級者4人(2年生男子と女子、4年生女子とボク)、初級者12人となった。
・学習カリキュラム
2日目からはいよいよ授業開始です。
私の入った上級者クラスの講義を受けてすぐに感じたのは、非常に中国語のレベルが高いこと。講師は台湾人なので当然ですが、一切日本語を使うことがなく、すべて中国語で行われる。
文法、単語をある程度、自分のものとして理解していて、日常会話レベル程度まで話すことができなければ、講義内容を理解することができないなと思った。
初めて中国語を学習する人は、確実に初級者クラスで学ぶのがマストだと思う。ただあなたが、難しい環境でチャレンジしてみたいというのであれば、日本での事前学習はマスト。
講師は初級・上級それぞれのクラスに一人ずついて、使うテキストは一冊だけです。どちらのクラスも特に課題等はなく、とにかく話すこと、聞くことの能力を高めるのが目的であると感じる。
講義の感想
先ほども書いたように、日本の大学の授業に比べ、決して易しくなく、講義レベルの高さに驚いたこと。
しかし、他の留学生や現地の学生とお互いに分からないところを確認しあうことで、クラスメイト全員で乗り越えようという気持ちになれたことです。また、講師の方も非常に親切であり、我々の分からないことに対しては納得するまで説明してくれました。
こんなこともあり、私は講師のことが大好きになった。もしまた機会があれば、この輔仁大学に戻ってこの講師と会話をしてみたい。
③文化研修
これは日本人の講師による講義で、日本と台湾の文化理解を深めるのが目的のプログラム
正直、この文化研修を毎日楽しみにしていました。(ボクの中ではメインイベント)
クラスメンバーは日本人と台湾人のミックスで構成されて、講師がそれぞれの国の文化にについて説明します。それに対して両方の学生が意見をぶつけ合います。
講義の最後にはグループ別(日本人1人につき台湾人が6~7人のミックスグループ)にディスカッションを行い、それぞれ発表する。
この講義は、決して堅苦しいものではないのですが、宗教や日本統治時代の歴史まで掘り下げ、互いの文化理解へと繋げます。講義自体は和気あいあいとした雰囲気の中で行われ、笑いも多く起こりました。
ここでは自分自身の考えを中国語で伝えることが非常に重要です(ちなみに日本語もOK、なぜなら台湾人学生は日本語が話せるwow!)。台湾人の学生は、私達日本人学生の発言に熱心に耳を傾けて聞いてくれるので、発表のしがいがホントあったよ。
授業は教室の中だけではなく、原住民博物館、神社や台北駐日経済文化代表処台湾文化センターに行くことで、現地の空気を実際に体験することができた。
午後の文化交流の講義では、常に一緒に過ごすので現地の学生と仲良くなることができ、単なる文化を学ぶ以上の経験が出来たのは予想以上に良かったと思う。
学校の外での文化研修でも、いつもグループで行動するため、文化以外に生活や趣味など、沢山の話をする時間があった。印象深かったのは、台湾人学生が日本語の学習や文化研修に、熱心に参加していたこと。
聞くところによると彼ら(輔仁大学の日本語学科の学生たち)は大学に雇われたアルバイトなどではなく、ボランティア活動とのこと。にも関わらず、「自分の為」にと、この研修に積極的に参加し活動していました。
正直言って自分にはとても出来ないと思う。
3.台湾生活
①学校内設備
施設は非常に豊富である。大学がキリスト教の大学なので教会があります。
またスポーツにも力を入れているため、沢山の運動施設があり、一般の人も利用しているようです。
・トイレ
私が通っている、日本の大学と比較すると清潔とは言えない。台湾のトイレ共通の事情である、トイレットペーパーを便器に流すのは禁止です。
また、トイレットペーパーがあるとは限らないので、常にポケットティッシュを持っていくことを忘れずに!もちろんウオシュレットもありませんよ!
・食堂
大学内には多くあるが、研修時は夏季休暇のため全てクローズ。しかしながら大学付近に学生が気軽に食事をとれるリーズナブルな食堂や屋台が沢山。数か月後、プライベートで輔仁大学に行ったが、周りの食堂は常に満席だった。
・自習室
誰でも利用することができる自習室があります。でも私は利用しませんでした。
それは、自習室にこもって勉強するよりも、外に出かけて色んな人と話すことにしたから。
・教室
マイク、スクリーンを使用して講義を受けます。教室内は飲食禁止となっていましたが、みなさん好きなようにご飯を食べていた。
②宿泊先
しかし構内は非常に広いため、宿舎までは歩いて10分ほどかかります。
宿舎には、1,2年生の学生が多く住んでいる。地方からきている学生は、初めの1年間を大学の寮で生活をするらしい。留学生は日本人、オセアニア地域の学生が多いイメージだった。
部屋
環境はいいとは言えない。必要なものは自分で用意する必要がある。テレビ、冷蔵庫、トイレ、バスルームは現地学生と共有する。衛生面もよくはない。掃除はあまりされておらず、気になる人は自分自身できれいにする必要がある。
夜中に停電が起こった時には、クーラーが止まるので蒸し風呂のようになる。このような環境でも、ルームメイトや、他の部屋の学生と協力して生活することが大切であるなと感じる。このおかげもあり、他の部屋の学生と交流する機会が結構あった。
台湾の夏は非常に暑いが、朝は涼しいので大学内をジョギングして体を動かした。朝は散歩している現地の方も多く、そこでも毎日、多くの出会いがあった。寮に閉じこもっても何も面白くないので、とにかく外出することがオススメ。
③食事
朝食・昼食
朝ごはんとお昼ごはんは近くの食堂で済ませていた。
夕食
夜は現地の学生と火鍋、日本食を食べに行った。値段はどれもリーズナブル。現地学生も一人暮らしが多く、お金を節約しているため、みんな安くて美味しい食べ物を知っている。学生街なので、安くておいしいところは沢山あります。
④費用
今回の留学の費用です。ボクは年に数回、台湾に行くので今回、お土産は買いませんでした。
奨学金に該当しない費用としては、食費、娯楽費、台湾国内の交通費、お土産代など学習以外のお金。
食費
最終的に使用した金額は2万円ほど。
食事に関しては1日500円もあれば、好きなものが食べることができると思う。
飲み代(夕食)が書いてないのは、とある事情があり、それほどかかっていないから。
実は現地学生(2人)が居酒屋でバイトしていたので、特別に安くしてくれた。
しかし通常の料金だとしても日本の居酒屋で飲むよりも格段に安い。店選びは値段に注意して!
航空券
航空会社はLCCで行きました。奨学金があるため、ケチらずに中華航空(Chaina Airline)やエバー航空を利用することもできましたが、利用しませんでした。
それはLCCが早朝の便で出国し、深夜の便で帰国することができるからです。
少しでも長く、台湾に滞在したいのならばLCCはおすすめ。利用した航空会社はpeachで羽田⇔桃園空港です。
ピーチアビエーションはコチラです。https://www.flypeach.com/
常客証
自慢ではないですが(自慢です)1年間に3回以上台湾を往来すると上のような常客証というのがもらえて、桃園空港への入国が列に並ばず、スムーズに出来ます。
4.その後
帰国後の交流
研修から帰国して、その後プライベートで4回台湾にいきましたが、必ず研修中に友達になった学生と会うことにしています。
今でも、日本でSNS(LINE、Facebook)を利用して連絡を取り続けています。
中国語を勉強でき、文化に対する理解ができたというよりも、友達を作ることができたことが最大の収穫かなとおもっています。
ここからは日本に帰ってからよく聞かれた質問です。
輔仁大学に美人が多いって、本当?
本当だよ。特に日本語学科は多い。プログラムに参加していた現地学生もきれいなヒトが多かったなあ。
プログラムに参加していない、他の日本語学科の学生も紹介してもらったが、噂通り美人ばかりでした。嘘だとおもうなら、自分の目で確かめに行く?
学生の国籍や年代は?
今夏の研修に参加した学生は全員日本人の、大学の1年生から4年生まで全学部生が対象です。
2週間留学のビフォーアフターは?
たった2週間でペラペラになることは無いが、中国語の感覚を肌身で感じることができた。
講師の話すスピードが速いのですがすぐに慣れた。特に、帰国してから、台湾人と中国語で連絡を取ることが多くなったので、日常で中国語を使うのは中国語力維持にものすごく役立つ。
あなたもこのようなプログラムに参加してみてはいかがでしょうか。
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